Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Read 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) by 橘 外男 (たちばなそとお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,181 characters · 219 screens
として一世を騒がせたことがありました。この事件に棚田判事が抜擢されて、裁判長として法廷に臨み、被告を懲役三年半に処す! と厳酷な刑を宣言しているところなどが、新聞を賑せていたのです。
当年の屋敷の青白い子が、今では堂々たる裁判長に出世して、大政党の長老の罪を裁いているのに、よほど感慨を催したとみえて、たまに子供を連れて、静岡の隠居所へ行ってみると、
「どうだ、なかなか、えらいもんになったじゃないか、あの子も。……こうしてみると、ついこないだまで洟を垂らしていた坊主とはどうしても見えんて」と、父は眼を細くして一度読んだ新聞を飽かずに、何度でも眺めているのです。
「そりゃあなた、この子だって東京へ帰って聴診器を持たせたら、立派な先生様ですもんな。親はいつまでたっても子供を五つ六つにしか考えませんけれど」
「そうかそうか、なるほどなア。子供が大きくなるのはわかっても、親は自分たちの年を取るのはサッパリわからんもんだのう」
と笑い話になってしまいました。が、
「棚田のお母さんもさぞお喜びでしょうな?」
と聞くと、
「おや、お前はまだ知らんかったかな? あの人はもう大分前亡くなってしもうたが。