Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

Read 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) by 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 115,959 characters · 234 screens

Aozora Bunko

妹が寝てしまって、父親と、おふくろと、彼と三人きりになった。幹太郎は云い出した。

「長さんは、どうしても、おかしいな。――すゞに気があるんですよ。……それから、お俊にも一寸気がある。」

「馬鹿。」竹三郎は風を吹くように笑った。「中津は、俺と同い年だから、もう五十三になるんだぞ。それがたった、十七や八の小娘をどうするもんか。」

「いや、いや。――這入って来てから帰るまで、あいつは、何もほかのものは見てやしませんよ。すゞと、俊ばっかし、顔に孔があく程見つめに見ているんですよ。――俺れゃ、ちゃんと知っとる。」

「それには、私も気がついています。」母が内気に口を出した。

「それ、そうでしょう。きっと、あいつ気があるんですよ。」

「馬鹿、――五十三にもなって、人間が、自分の子供のような娘をどう思うもんか。」

「でも、男は、年がよる程、若い娘がよくなるという話じゃありませんか。それに、あの人は、まだ独身者ですよ。」

「馬鹿、馬鹿! 何てお前ら、邪推深いんだね。――中津は俺のえゝ朋輩だぞ。俺れゃ、あいつの気心をようくのみこんどる。あいつは、そんな義理にそむいた、見っともないことをやらかす男じゃないよ。