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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Read 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) by 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 115,959 characters · 234 screens
九
瞬間、彼は、ひどく淋しい感情に打たれた。一番最後に歌った意味は、『老母は愛児の帰りを待ちわび、紅粧の新妻淋しく空閨を守る。』というようなものである。
――恐らくあのデボチンは、農村に育って、歴山から吹きおろす南風に、その歌を、幼時から歌いなれたものだろう。何等の悪事をもしちゃいないのかもしれない。彼だって、のどかな罪のない幼時はあっただろう!
チュアン イエン ペイフォン ツイ
イエンジュン ハン コアンフイ
パイ ファニャン ワンアルツイ
ホン ゾアン イ コン ウエイ
「畜生! 俺れが人殺しでもしたと云うのか、畜生!」
九
支那では土匪が捕まると、市街をひきずりまわして、見せしめに、群集の面前で断罪に処するのが習慣となっている。斬られた頸は三つも四つも並べて路傍の電柱にぶらさげられ、晒し首にされた。
その頸はうす気味が悪かった。あるやつは、口をあけて歯くそのついた汚い歯を見せていた。あるやつは、笑いそうだった。しかめッ面をしているのがあった。夏は腐爛した肉に、金蠅がワン/\たかった。
人々は、一と目で、すぐ顔をそむけ、あとを見ずに通りすぎてしまう。土匪の中には、勿論、強盗を働いたものもあった。