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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Read 母子叙情 (ぼしじょじょう) by 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 77,355 characters · 153 screens
いちばん困ったのは、かの女がよく××××をずり下げることだった。
「一郎さん、だめだめ」かの女は顔を赫くしながらそういうと、
「ちょっ、こんなお母さんて世界にありますかい。僕絶望しちゃうなあ」そう云いながら、そっと自分の陰にかくまって、カフェの××へ人に見つからぬよう送り込んで呉れた。
その気持は手紙を通じて年々に変らぬのみか、ますます濃くなって来る。
むす子の手紙の一――今お母さんの手紙受取りました。お母さんが自分の書いたものの世評に(たとえば先々月号の××に載ったような)超然としていると聞いて、すっかり安心しました。自分の中にある汗、垢、膿、等を喜んで恥とせずに出して行くことが出来れば万々です。僕の書いた意味は、それによって受ける反動が、お母さんを苦しめて、ますます苦境に陥れることを心配したので、今となって超然とした、はっきりした態度を持っているお母さんなら心配しません。僕は巴里でお母さんと一緒に居た時も、「世評にくよくよするお母さんが一番嫌だ、ケチくさくって、女くさくって」とよく云いましたね。しかし、その汗や垢が余りくだらないうちは到達だとは云えませんよ。