Japanese reading practice

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Read 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 26,533 characters · 52 screens

Aozora Bunko

「おや、変だね」

健一はフト四方を見ました。風もないのに、手に持った蝋燭の灯がユラユラと揺いでいるのです。

「あの音はなんでしょう」

綾子は聴耳を立てました。なんとも知れない恐しい音が、地響を打たせて迫って来るのです。

「堤防が切れたかも知れないワ。大急ぎで外へ出ましょう」

と燿子は敏感に事情を呑込みます。

「よしッ、銅板は俺が持つ」

健一は大事な絵図面を小脇に、綾子と燿子の手を取るように駆け出しました。

いや、駆け出そうとしたのですが、十メートル四方ほどの広間を出て、外へ出る隧道へかかろうとして立ち縮んでしまったのです。

「あッ」

想像も出来ないような恐しい水が、穴の入口から奔流のように、隧道一パイに流れ込んでいるのです。

この凄まじい水の奔注する隧道を、逆に泳いで行くことは、世界一の水泳の名人でも出来る筈はありません。おまけに水は隧道一ぱいに溢れて、首を出す隙間もない上、隧道の長さは三十メートル以上もあるのです。

その内に、水は次第に地下の広間を浸して、三人の立っている足元へ蚕食して来ます。

「どうしましょう。お兄様」

燿子はさすがに蒼くなりました。

「絵図面を見て、宝庫へ行く道を捜したら」