Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Read 江戸三国志 (えどさんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 577,271 characters · 1141 screens
「いいえ、ただ、熱海で一緒に居た、金吾という人の事をいろいろくどく聞いただけです」
偶然に、この時初めて、次郎の口からもれた金吾という名に、彼はハッと眼を瞠って、
「次郎、今お前の言った金吾というのは、一体どういう人間なのか。もしや、相良金吾という者ではないか」
「そうです」
「えッ」
「相良さんというんです。月江様もおりんさんも、おいらも、みんなあの人が好きでしたよ」
「では、熱海の温泉宿で、あのお粂と共に入湯していた折に、お前たちも同じ宿に泊り合せていたという訳か。なぜ早く話してくれなかった、その金吾には、ぜひ会わねばならない事がある」
「だって、おじさんと、相良さんと、知ってる人だとは少しも思わなかったもの」
「なるほど、それも無理はない話……。しかし、そうと分れば、なお細々とそれについて訊ねたい事がある。……と申してもここは雑鬧、次郎、向うの人通りのない方へ参ろう」
「おじさん、何だかポツンと降って来たようですよ」
「雨どころではない、さ、わしに尾いて来い」
と、万太郎がやや大股に、掛小屋の裏から歩み出しますと、それまですぐ後ろの物蔭にかがんでいたらしい一人の男が、