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うんのじゅうざはいせんにっき
海野十三敗戦日記
海野 十三
Read 海野十三敗戦日記 (うんのじゅうざはいせんにっき) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 83,094 characters · 167 screens
◯夜半、午前二時半ごろ警報出る。伊豆方面より敵一機北東侵入。一機のこと故、子供は起こさないでおき、家内の灯管(※灯火管制。夜間、敵機の来襲に備えて、灯りを遮ったり落としたりすこと)とラジオと壕の点灯だけを用意しておく。
晴夜にして、既に十一日過ぎの三日月は東天にかかり、星はきらきらと天空に輝き、寒々としている。高射砲が鳴りだした。
離室への廊下から東南の方を見ると、わが照空灯が十数条、大井町の上空と思われるところへ集まっており、それよりやや左にぱらぱらと火の粉のようなものが落下して行く。それは敵機の投下した焼夷弾だ。憎むべき敵と、ふんがいする。
やがて音も光も消え、元のような深夜の空となった。本屋の寝床へ入って寝る。
十二月十二日
◯毎夜のごとく敵機がくる。きまって一機または二機で、せいぜい二隊位だ。昨夜と今暁二度起こされた。癪にさわる。ねむい。寒い。二度目は家族は起こさず、自分だけで一応灯管を見て廻った。
きょうは起きたが、身体が変調だ。敵はいわゆる神経戦と疲労戦とでやってくるものだろうが、たしかにそれは一応成功している。しかしこっちも考え直して、もっといい対策を講じ、アメリカの手にのらないようにしなければならぬ。