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うんのじゅうざはいせんにっき
海野十三敗戦日記
海野 十三
Read 海野十三敗戦日記 (うんのじゅうざはいせんにっき) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 83,094 characters · 167 screens
序
ゲリゾンをのんだり、アルバジルをつけたり膏薬を貼ったり、諸策を講じているが、まだ治癒のきざしはない。
◯特別配給の「光」三十本に、多少ゆったりとタバコをふかす。
◯本年もあと十日。
十二月三十一日
◯ああ昭和二十年! 凶悪な年なりき。言語道断、死中に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべき年へ延びんとす。生きることの難しさよ!
さりながら、我が途は定まれり。生命ある限りは、科学技術の普及と科学小説の振興に最後の努力を払わん。
◯ラジオにて寛永寺の除夜の鐘の音を聞く。平和来。昨年は「敵機なお頭上に来りて年明くる」と一句したりけるが、本年は敵機もなく、句もなく、寝床にもぐり込む。
降伏日記(二)
序
禿筆をふるいて降伏日記を書きつづけん
昭和二十一年元旦
海野十三
一月一日
◯快晴也好新年。
されど記録になき乏しき食膳の新春なり。されどされど食膳に向えば雑煮あり、椀中餅あり鳥あり蒲鉾(かまぼこ)あり海苔あり。お重には絶讃ものの甘豆あり、うちの白い鶏の生んだ卵が半分に切ってあり、黄色鮮かなり。