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うんのじゅうざはいせんにっき
海野十三敗戦日記
海野 十三
Read 海野十三敗戦日記 (うんのじゅうざはいせんにっき) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 83,094 characters · 167 screens
ねえや(※お手伝いさん)のお父さんがきていて、初めてこの招かざる客を見る。
暁の三時に、また敵機一つ来る。毎夜つづけてくる。六日以来ずっとだ。夜の当番は、私がやることにした。敵もこず、警報だけ出て、寒さにぶるぶるふるえるだけで、おしまいだった、今晩は……。
十二月十六日
◯珍らしく昨夜は米機きたらず、したがって起きずに済んだ。六日以来毎夜きていたものがこないと、ちょっと調子はずれの形。人間は環境になじむ性質が強いと感じた。
◯夜分起きるのは私一人と、当直をきめたが、まず少数機侵入のときはこれで十分だと思う。十五日の暁方の空襲のときは、西南西の林越しにちらちらと火が見えた。てっきり焼夷弾が落ちて、こっちに横流れに流れてくるものと思い、壕を出て垣根からのびあがって透かしてみたところ、焼夷弾にあらずして照明弾だった。それもかなりの遠方に見えた。
◯昼間、敵機の爆撃音がすごくなり、味方の高射砲もどんどん撃ちまくるとなれば、恐怖心もどこかへ吹っとんでしまって「おのれ、敵の奴め、味方よ、撃て撃て!」と敵愾心(てきがいしん)で身体中が火のように燃える。
◯良太(※甥)君の宿所附近二百メートルのところに爆弾一発落下し、畠に大きな穴をあけたが、附近の家に被害なく、ガラスも割れなかったという。