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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Read 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) by 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 132,395 characters · 263 screens
――貴官は目下、海軍高等審判に附されつつあり。
かくて余は、七つの海を永遠に彷徨わねばならぬ身になった。
祖国よ! 法規とは何か。区々たる規律が、戦敗崩壊後に、なにするものぞ。
読んでゆくうちに、法水の眼頭が、じっくと霑んでいった。しばらくは声もなくじっと見つめているのを、検事は醒ますように、がんと肩をたたいた。
「どうしたんだい、いやァに感激しているじゃないか。しかし、仏様のことだけは、忘れんようにしてもらいたいね」
「じゃ、なにか君は分ったというのかね。君は、あの傍線にとっ憑かれているようだが……」
「僕は、なにか艇長の肉体に、秘密があるんじゃないかと思うんだ。それを妻らしく、ウルリーケがお気をつけなさい――と注意したのではないかね。いや、なにも決定的なものじゃないさ。ただ、対象がジーグフリードなんでね。あて推量だけでは、図星がそこへいくというわけになるだろう。とにかく、菩提樹の葉で出来たというジーグフリードの致命点が、この場合、フォン・エッセンの何にあたるか――さっぱりぼくには、この取り合せが呑みこめんのだがね」
と検事は惑乱したように云ったが、さらに「ニーベルンゲン譚詩」