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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

Read 照葉狂言 (てりはきょうげん) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 49,730 characters · 100 screens

Aozora Bunko

馬鹿万と云うのがあるしね、刎万だの、それから鼻万だのッて、皆嫌な奴さ。ありゃ名でもって同じような申分のあるのが出来るのは、土地に因るんだとね。かえって利口なのも有るんだって。」

「また、詰らないことを言出したよ。幾歳だねえ、お前さんは。そんなこと云っていて、人の心配も何も出来るものじゃない。」

「だって、それに違いないのだ。あのお雪さんの養子になってるのは、やっぱり万という名だからさ。私がね、小さい時、万はもう大きな身をして、良い処の息子の癖に、万金丹売のね、能書を絵びらに刷ったのが貰いたいって、革鞄を持って、お供をして、嬉しがって、威張って歩行いた児だものを。誰が、そんな。

だからお雪さんも嫌っていたんだそうだけれど、どっさりお金子を持って来ると言うので、あの継母がね、是非婿にしよう、しなけりゃあなりませんと、そう云ったんだ、と。お雪さんが嫌だと云ったけれど……あの、姉さんも知ってるはずだよ。……私の内に楓の樹があって、往来へ枝がさして茂ってたのが、あすこの窓へ届いたので、内が暗くって、仕様がない。貢の内へ掛合って、伐らしてしまうと言った時分に、私は何も知らないけれど、お雪さんが、あれだけは、そんなかわいそうな事をしないで下さい。