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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Read 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 95,012 characters · 189 screens
「四時間では、指揮をするだけでも、大変だぜ」
「松戸の工兵学校は、もう仕事を終えている頃ですから、直ぐ応援して貰ってはどうです」
「工兵学校も、いいが、俺は、千葉鉄道聯隊の連中を、あてにしているのだ」
何事だか、まだ判らないけれど、とにかく帝都から、程遠からぬ市川町附近へ、多数の特科隊が、夥しい材料をもって、集合を開始しているものらしい。
「大尉どの」闇の中から、山中中尉の声がした。
「うん」
「思い出しましたが、村山貯水池の方は、誰か行くことになっていましたでしょうか」
「村山貯水池は、臨時に、中野電信隊が出動したそうだ」
「ああ、そうですか」
「あの広い貯水池の水面に、すっかり、藁を敷くのは、想像しただけでも、容易ならん仕事だと思うね」
「でも、藁を敷いて、水面の反射を消すとは、誰が考えたのかしりませんが、実に名案ですな」
「隅田川へ敷くのについて、非常に幸運だったというのは、今夜十二時頃から、次第に、上げ潮になって来るそうで、水面へ抛りこんだ藁が、流出せずに、済むそうだ」
「なるほど、そうですか。これも天佑の一つでしょうな」自動車隊は、暗闇の中を、なおもグングンと、驀進して行った。