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るこうしんそう

縷紅新草

泉 鏡花

Read 縷紅新草 (るこうしんそう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 24,566 characters · 48 screens

Aozora Bunko

「お米坊。」

おじさんは、目を移して、

「景色もいいが、容子がいいな。――提灯屋の親仁が見惚れたのを知ってるかい。

(その提灯を一つ、いくらです。)といったら、

(どうぞ早や、お持ちなされまして……お代はおついでの時、)……はどうだい。そのかわり、遠国他郷のおじさんに、売りものを新聞づつみ、紙づつみにしようともしないんだぜ。豈それ見惚れたりと言わざるを得んやだ、親仁。」

「おっしゃい。」

と銚子のかわりをたしなめるような口振で、

「旅の人だか何だか、草鞋も穿かないで、今時そんな、見たばかりで分りますか。それだし、この土地では、まだ半季勘定がございます。……でなくってもさ、当寺へお参りをする時、ゆきかえり通るんですもの。あの提灯屋さん、母に手を曳かれた時分から馴染です。……いやね、そんな空お世辞をいって、沢山。……おじさんお参りをするのに極りが悪いもんだから、おだてごかしに、はぐらかして。」

「待った、待った。――お京さん――お米坊、お前さんのお母さんの名だ。」

「はじめまして伺います、ほほほ。」

「ご挨拶、恐入った。が、何々院――信女でなく、ごめんを被ろう。その、お母さんの墓へお参りをするのに、何だって、私がきまりが悪いんだろう。