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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Read 花と龍 (はなとりゅう) by 火野 葦平 (ひのあしへい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 410,131 characters · 824 screens

Aozora Bunko

そういう人たちが、折尾で停車した列車に、どやどやと、乗りこんで来た。

その新しい乗車客たちを眺めていた金五郎は、あっけに取られた顔になり、眼をぱちくりさせた。

「やあ、大庭の大将」

「これは、皆さん、お揃いで……」

聯合組の親分連中は、大庭春吉と、口々に、そういう挨拶を、とりかわした。

「杢次どんは、相かわらず、もう、グデ助じゃのう」

とか、金五郎を見つけて、

「永田の大黒ボーシンも来ちょるな。いっぺん、君とゆっくりやりたいと、思うちょった」

などと、いう者があった。

金五郎も、それぞれ、適当に挨拶をしたが、今度の遠足のつれの、派手で、賑やかで、闊達で、色っぽくて、だらしのないことに、一驚せざるを得なかった。

列車は、折尾駅を出発し、なお降りしきる雨の中を走る。沿線は一面に緑の畳をしきのべた稲田である。案山子のおどけた顔が、いくつも、窓外を後方へ飛ぶ。

眼をさました永田杢次は、ゆらゆらと立ちあがった。サクにつき添われ、

「よう、お歴々」

と、呂律のまわらぬ舌で叫んで、新しい道づれの中に割りこんで行った。

そこでは、もはや、酒盛である。阿鼻叫喚の巷といってよい。