Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Read 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) by 小山 清 (こやまきよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,741 characters · 486 screens
「お強飯を誂えに行くのよ。」
江戸町二丁目の裏通に伏見町という小路がある。二葉屋はそこにある餅菓子屋で、私の家では正月の餅や節句の柏餅をいつもそこに註文していた。
「清ちゃんはお習字のお稽古に行くの?」
「ううん。お師匠さんのとこ。」
「お師匠さんって?」
「延小浜さん。」
「そうお。清元なのね。いまなにを習っているの?」
「いまはね、お染。」
京町二丁目の通りを抜けて仲の町の辻に出たとき、いまを盛りの花の梢の向うに角海老の大時計を仰いで、お糸さんは山の手の住人らしく見て過ぎながら、
「ここが角海老ね。」
「そう。お糸さんは吉原へ来たことはないの?」
「いいえ。ありますわよ。」
「ぼくの家にも?」
「ええ。清ちゃんがもっと小さかった時分に。ちょうどお酉さまのときに。」
「ひとりで?」
「いいえ。おっ母さんと一緒に。」
「ぼくがいた?」
「いましたよ。清ちゃんは絣に黒無地の胴はぎの着物を着ていて、可愛らしかったわ。よく覚えていますよ。いまのおなかさんではない子守さんがいましたね。」
「しづや。」
「そう、おしづさんでしたね。清ちゃんの子守さんは。一緒に大阪へも行ったんでしょ。」
「ええ。