Japanese reading practice

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あしはみていた

葦は見ていた

山本 周五郎

Read 葦は見ていた (あしはみていた) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,985 characters · 36 screens

Aozora Bunko

おひさは本気だったろうか。

「それはわからない」と計之介は云った、「本当にそれっきり逢わないつもりだったか、それとも、そうするほうが男をもっと惹きつける、ということを知っていたためか、どっちともわからない、ともかく、――その後おひさから呼びだしは来なかった」

しかし計之介のほうから逢いにいった。

逢いにゆかずにはいられなかった。初めておひさによって女を知り、僅かな期間ではあるが繰り返されて、それがどんなに強い誘惑であるかわかっていた。そのうえ、江戸をぬけて来た女の、ひたむきな、思いつめた気持もあわれであった。

――これで本望だ。

こんな田舎の城下町で芸妓になって、それでも同じ土地にいられるから本望だという。おひさの言葉は彼の心を刺し、彼の心をつかんだ。

――いらしってはだめよ。

おひさは云った。計之介が逢いにゆくたびに、おひさはそう云うのであった。

――土地が狭いからすぐ噂になります、これっきりいらっしゃらないでね。

計之介もそうしようと思った。深江に対しても気が咎めた、深江は十七になり、ずっと娘らしくなっている。いっそ深江と結婚してしまおう、そうすれば女を忘れられるかもしれない、彼はそうも考えた。