Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens
やみねなりの正値だった。進君はにこにこして、
「すみません。たすかりました。じゃあ、もってきます。」
だが米はきょうの一キロだけだった。
「あら、ひどい。これ、五升?」
思わず大きな声を出した。
音枝のなじる口調に、さすがの進君も赤くなり、またまた、耳のうしろをはげしくかいた。音枝は半分のおかしさに、甘く見られた腹立ちをも適度にこめて、
「どうしたの、これが五升?」
「いえ、ぼく、これからの配給でとってもらおうと思って。」
「じゃあ、はじめっからはっきりいいなさいよ。」
「いったつもりですけど。」
「聞きませんよ。」
「じゃあ、この一キロ分だけにして、百円おかりしましょうか。」
「いいわよ。苦学生のあんたから、もうとりかえせないわ。――どうも話がよすぎると思った。だって、アルバイトの口がふえたの、二三日前じゃないの。いやあね。」
音枝のきげんがなおったとみて、進君は早々に引きあげた。そのあとを音枝はおっかけるようにして、彼の部屋をノックしながら、
「ちょっと、進さん。」
「はい、すぐあけます。」
そういわれて気がついたことだが、まだ時刻は早いのにもうドアにはかぎがかかっていた。