Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens

Aozora Bunko

「どうしたんだ。不景気な顔して。いやならいいよ。飯ぐらいひとりで食うからさ。」

「そうじゃないわよ。」

「どうなんだ、そんなら。」

「心配なんですよ、浜ちゃんのこと。――」

いろいろ話すと文吉もはじめておどろいた。そのおどろいている文吉に、冷水でもかけるように、

「おかあさんはおとうさんを疑ってるわよ。――おとうさんたら、疑われるようなことばっかりするんだもん。」

ぱーんと音枝のほおに文吉のてのひらがとんでいた。

ゆっくりゆっくりなのにどうしたのか安江は、足もとがひょろひょろしていた。それに気がついてかどうか、冬太郎は腕をつきつけるようにして、

「おかあさん、ぼくにつかまったら。」

その背の高いむすこを見あげるようにして、安江はひとり感慨にふける。

――この子が、二十年前に、わたしの背中にくくりつけられて、東海道を三等車にゆられて上ってきたあの赤ん坊だとは……しかもその赤ん坊だった冬太郎が、時代とはいえもう女友だちをもつほどの若者になっている。

それにつけてもならべて思い出されるのは浜子のことであり、進のことであった。ことに浜子は冬太郎とは同い年である。もしも冬太郎が女であったなら――と思うと、その延長として冬太郎の女友だちの妙子のこともまた、一応は浜子と同列にして考えてもみなければなるまい。