Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens

Aozora Bunko

声で刃向ってきたなと思ったとき、まるで火に水をかけるように、玄関のブザーが鳴り出した。しかもなかなか鳴りやまぬ。ボタンの押しっぱなしだ。

さすがの夏樹も泣き声をおさめはしたが、しかし足の先はやっぱり両手でかかえこんで顔をしかめている。

「ごめんね。」

ささやいておいて取次に出ようとする音枝をさえぎって、中廊下をばたばた走って玄関へ出たのは浜子だった。十日ほど前安江をたよって、いなかの家を半ば無断でとび出してきた、十八の娘である。音枝はもう浜子についてゆかずに、

「やっと腰をさげるようになったわ。」

と、まゆをよせて聞き耳をたてている安江にささやいた。この家の玄関は板敷きなので、人を迎えるのにすわって手をつけとはいえぬが、せめてひざをついて応対するようにと、安江はいつも若い者にいっていた。それをそのまま音枝が浜子にいったのである。すると浜子は、人のよい音枝をみくびって言いかえしたという。

――お客さんは立ってるのにこっちがすわるなんて、封建的ですわ。男女同権ですもの――

そこで音枝はおかしいのをこらえて、

――でもね浜子さん、うちはそういうしきたりなのよ。