Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens

Aozora Bunko

「そりゃあ、なんかの時には貸しますがね。浜ちゃんも……」

お給金を少しずつでもためて身に合ったのを作りなさいといおうとしたのに、浜子はいきなりとびついてきて、

「うれし、うれし、わたし、おねえさんていうわ。かしてねおねえさん。約束。」

いやおうなしにげんまんをしてしまった。そしてその翌日、

「おねえさん、浜子、おねがいなんだけど。」

例の甘ったれ声でしなだれかかってきた。

「なによ。気持が悪い。はっきりおっしゃいよ。」

「ね、スーツ。」

まだ音枝がそれを着て一度も出かけたことのないスーツを、浜子は貸せという。音枝はただあきれて、しばらくだまったまま浜子の顔をみていた。うんというのも業腹だし、といってはっきりいやともいいかねる。もたもたしているそんな気もちにおかまいなく浜子は、

「ね、貸してくれるっていったじゃないの。」

浜子はきょうの定休日を、それを着て出かけたいらしい。しきりとあまえかかる浜子に、音枝は気弱ながらもせい一ぱいの不きげんを顔にあらわして、

「いったけどさ、きょうはいやなんだけど。」

「どうして。」

「どうしてっていわれても、困るけど。あれ、わたしのいっちょうらよ。