Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Read 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 261,216 characters · 521 screens
「だまれ。何でもよい」
「やりきれねえなあ。どうか、わっしの立場も、少し察してやっておくんなさい。今、この遠眼鏡からえらい手がかりを得たばかりなんで……まごついていると、取返しがつきあしません」
「遠眼鏡から、何を見たと?」
「わっしに毒をくらわせて、天満河岸からドロンをきめたお米のやつが、日傘をさして、すぐ向うの梅ヶ辻を」
「そんな女はどうでもいい。捨てておけ、捨てておけ。貴様もまたばか正直に、啓之助を嫌って逃げた囲い女を、なんでそう一心に捕まえたがっているのじゃ。吾々が眼色を変えているのとは違って、蜂須賀家になんらのかかわりもない雌鳥などを、血眼で、追い廻しているたわけ者があるものか、行ってはならん!」
こうどなられると宅助もムッとした。お米には毒を呑まされた意趣もあるし、阿波へ連れて帰れば、たんまり啓之助から報酬をねじ取る寸法もあってすることだ、野暮で分らずやのてめえたちが、何を知ったことか、と業腹を立てて、面をふくらませた。
「おい、天堂、そいつは少し因業すぎるだろう。宅助の事情も聞いてみればもっともなところがある」とお十夜が仲をとって、
「おれが引きうけてやるから、行ってこい。