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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Read 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 261,216 characters · 521 screens
頭巾と侏儒
同時に、町々は浪人の狩立て、江戸表では長沢町の山県大弐、一昨夜南町奉行所の捕手にからめられて、一味のこらず、揚屋入りとあいなった。また、宇治の竹内式部へも召捕りの人数が向い、公儀より正式に徳島城へ向って、大目付副使、ふたりの上使が立てられ、すでに今朝は大阪を出発した筈――もう多くの弁にも及ぶまい、すなわち、陰謀露顕、惜しむべし、蓬庵公以来の阿波二十五万六千石、近くお取潰しのお沙汰であろうぞ!」
頭巾と侏儒
機智は功を奏して、鴻山の高くいった声は、青天のへきれきほど阿波方の者を驚かせた。
むらがってきた原士は、足もとの大地を揺すられたように、剣をつかんでいる手すらも茫然と、
「ウーム、では、幕府に先手を打たれたのか」
と、悲痛なつぶやきに、暗澹な面持を見あってしまった。
突如――それは三位卿の、口から血を吐いたような叫びであった。
「大事は破れたッ……ああ京都……王室の御迷惑、諸卿の難儀……罪は有村にある」
とたんに、かれは頸動脈に刃をあてて、おのれの身を芒むらへ、どうと、横ざまに仆したのであった。
「やっ?」
「あ、有村様ッ」
「おおっ、三位卿が自刃された」