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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens
(浄罪の旅へ、※悔の旅へ、あの人は出かけて行かれたのだ)
そんなようにも思われた。
(あの人はわたしをどう思っているのだろう?)
(憎んでいるに相違ない)
そう彼女には思われた。
(浄罪の旅へ、※悔の旅へ、追いやった元兇がわたしなのだから、あの人はわたしを憎んでいるだろうよ)
彼女にはこれがたまらなかった。
(どうともしてあの人にお逢いして、あの人の憎み、あの人の怨み、あの人の怒りの鞭を受けたい。……どんなにしてもわたしは謝罪したい。……お許しがなければ殺されたい)
彼女は良人に殺されようために、流浪の旅へ出たのであった。
(あの人なしではわたしは生きられない)
こういう感情ももちろんあった。
良人恋しさが根本となり、その良人に謝罪したい、その良人に許されたい、その上でなら殺されてもよい。
これが彼女が自家を出て、流浪の身となった原因であった。
数年に渡る流浪の旅が、いつか彼女を女乞食にした。
あらゆる苦難と迫害と、誘惑と陥穽とが彼女を襲った。
六波羅第一と謳われた美貌は、乞食となっても面影を残し、彼女の貞操を暴力をもって奪おう――そういう男が時々出た。
そこで彼女は考えた。