Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Read あさひの鎧 (あさひのよろい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 239,520 characters · 475 screens
不意に女の声が聞こえた。
「夜食のお粥たけたかえ?」
声は社殿の縁から来た。
若い女がそこにいた。
縁に腰かけているのであったが、丈延びた草が胸の辺りまで届いて、半身を蔽うているがために、人がいるとも見えなかったのである。
それは飛天夜叉の桂子であった。
「ああもうソロソロたける頃さ」
鬼火の姥は眼も上げないで云った。
「お前さん一人で食べるにしては、その夜食多すぎはしないかえ」
そう桂子は笑いながら云った。
「なんの一人で食べるものかよ、あの子にもやらなけりゃアならないし、この子にもやらなけりゃアならないのだよ」
「どこにそんな子供いるのだえ?」
「まあ黙って見ているがいいよ。今に沢山の子供たちが、ガツガツとお腹をへらしながら、闇の中から素っ飛んで来るから。……それよりお前さんそんな所にいずに、ここへ来て火にでもおあたりな」
こう云うとはじめて鬼火の姥は、社殿の方へ眼をやった。
「行きたいけれど行けやアしないよ」
桂子は暗い中で微笑した。
「そんな恐ろしい眷族が、お前さんの周囲にいるんだものねえ。……蛇だの蝦蟇だの……恐や恐や!」
「ふふん」
と姥は鼻で笑った。