Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おおかみとひと
おおかみと人
小川 未明
Read おおかみと人 (おおかみとひと) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,224 characters · 9 screens
未開な小さな村がありました。町へいくには、山のすそ野を通らなければなりませんでした。その間はかなり遠く三里もありまして、その間には、一軒の人家すらなかったのであります。
春から夏にかけては、まことに景色がようございましたけれども、秋の末から冬にかけては、まったくさびしゅうございました。けれど、その村の人は、町までいくには、どうしてもその高原を通らなければならなかったのです。
この辺には、おおかみがときどき出て、人間を食ったことがあります。また、きつねが出て、人をばかしたこともあります。冬になって雪が降ると、人々は、一人でこの路を通ることをおそれました。
村に猟人のおじいさんが住んでいました。このおじいさんは、長年猟人をしていまして、鉄砲を打つことの大名人でありました。どんな飛んでいる鳥も、走っているうさぎも、またくまや、おおかみのような猛獣も、たいてい的をつけたものは、そらさず一発で打ち止めるというほど上手でありました。
このおじいさんが日ごろいっていますのには、
「くまや、おおかみのような猛獣は、かえってやさしい情けがあるもんだ。昔から人間が谷に落ちてくまに助けられたり、また路に迷って、おおかみにつれてきてもらったりした話があるが、それはほんとうのことだ。