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おれはにじゅうめんそうだ
おれは二十面相だ/妖星人R
江戸川 乱歩
Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens
そればかりではありません。さっきは、本だなの本のあいだから、やせた手が出てくるようにおもいましたが、おなじような手が、あちらからも、こちらからも、ニューッ、ニューッとつき出してくるような気がするのです。
テーブルの下からも、ミイラの棺からも、たなにならべてある土人形や、つぼの中からも……。
電灯がパッときえるたびに、ちがったところから、その手が出てくるように思われるのです。
その手は、みんな、テーブルの上の巻き物の箱をねらっているようで、そのほうへグングンのびてくるのです。そのうちの一本の手は、一メートルも二メートルも長く長くのびて、いまにも、銀の箱にさわりそうになるのです。
むろん、ほんとうに手が出たわけではありません。電灯がパッパッとまたたくので、気のせいで、ありもしないものが見えたのです。
さすがの小林少年も、もう、がまんができなくなって、ドアのほうへ、走っていって、いきなり、ドアをドンドンとたたきました。
小使の赤井さんが、その音を聞けば、かぎをもって、ドアをあけにきてくれるだろうと思ったからです。
ところが、小林君がドアをたたきますと、まるで、それが、あいずででもあったように、パッと電灯がついて、そのまま消えなくなりました。