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おれはにじゅうめんそうだ
おれは二十面相だ/妖星人R
江戸川 乱歩
Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens
みなさんも、目をつむったとき、そういう色が見えることがあるでしょう。目のおくの神経の作用ですね。あれが、いま、やみの中の小林君の目の前に、ひじょうにはっきりした色で、あらわれたり、消えたりしているのです。
そのとき、あたりの空気が、うごくような気がしました。窓もドアも、ぴったりしめてあるのに、どこからか、かすかに風がふいてくるのです。
おばけの話をよむと、おばけが出るときには、どこからか、なまぐさい風がふいてくると書いてあります。これはそのおばけのまえぶれの風でしょうか。
でも、べつになまぐさくはありません。ごくかすかな空気のうごきが、ほおにかんじられるばかりです。
そのころは、もう、目がやみになれていたので、部屋の中の白っぽいものは、ぼんやりと見えるようになっていました。
テーブルの上の巻き物の銀の箱もうっすらと、見えているのです。小林君は、目をいっぱいに開いて、その箱をにらみつけていました。
すると、その銀の箱のまんなかのへんが、とつぜん、なんかでかくされたように、見えなくなったではありませんか。まんなかが黒くなって、銀の箱が二つに割れたように見えるのです。