Japanese reading practice

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おれはにじゅうめんそうだ

おれは二十面相だ/妖星人R

江戸川 乱歩

Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens

Aozora Bunko

バラック小屋には、隅田川のほうにも、川岸の道のほうにも、ガラス窓がついていました。そのなかでタバコをすっている労働者は、道のほうをむいていましたから、さっきのじいさんが、外を通れば気がついたはずです。

「おじさん、いま、ここを、トルコ帽をかぶった白ひげのじいさんが、通らなかったですか。」

小林君が、たずねると、その男はジロッと、こちらを見てこたえました。

「うん、じいさんのくせに、かけだしていったぜ。あっちのほうへね。」

「ありがとう。」

小林君は、バラックの戸をしめて、そこに待っていた今井君兄弟といっしょに歩きだしましたが、バラックから、すこしはなれると……、小林君は、とつぜん、立ちどまって、今井君の耳に口をつけ、なにかささやきました。すると、今井君は、うなずいて見せて、

「うん、わかった。しっかりやりたまえ。」

といって、そのまま、にいさんといっしょに、川岸を、ドンドンむこうのほうへ、走っていきました。むろん、白ひげのじいさんを、探すためでしょう。なぜか、小林君だけがあとにのこったのです。

あとにのこった小林君は、川っぷちを伝って、すばやくバラック小屋のうしろに身をかくし、そこの窓から、ソッと、なかをのぞきました。