Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おれはにじゅうめんそうだ
おれは二十面相だ/妖星人R
江戸川 乱歩
Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens
見つめていますと、やみの中に、やみとおなじような色の、なんだか、おそろしく巨大なものが、空の方から、グーッと、のびているように感じられます。
その黒い腕が、犬をつかんで、ぐいぐいと、引きあげていくのです。
死にものぐるいに、もがいている白犬の姿は、みるみる井上君の頭よりも高くなり、それからまだ、上へ、上へと、無限に、のぼっていきます。そして、ついには、その姿が見えなくなってしまいました。
ただ、はるか空のほうから、かなしげな白犬のなき声が、かすかに、かすかに、聞こえてくるばかりです。
井上君も、そのからだにしがみついているノロちゃんも、銅像にでもなったように、身動きもしませんでした。ちょうど、腰がぬけたのとおなじで、筋肉が、こわばってしまって、動こうとしても、動けないのです。
「おやっ、井上君とノロちゃんじゃないか。こんなところで、なにをしているんだい。」
とつぜん、うしろから声をかけられたので、ふたりは、とびあがるほどおどろきました。しかし、それでやっと、からだが動くようになったのです。
声をかけたのは、小林団長でした。
暗やみをすかして、その姿を見とどけると、ふたりは、いきなり小林君にかけよって、左右から、その手にとりすがりました。