Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おれはにじゅうめんそうだ
おれは二十面相だ/妖星人R
江戸川 乱歩
Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens
目にはなにも見えません。しかし、どうもそんな気がしてしかたがないのです。
わたしは、ふっと、あの恐ろしい透明人間のことを思い出しました。ひょっとしたら、あの目に見えないやつが、じぶんの前を歩いているんじゃないだろうかと思うと、ぞうっとしました。
わたしは、地面を見つめました。いくら透明人間でも、足跡はつくだろうと思ったからです。しかし、だめでした。あの道はずっとアスファルトが敷いてあるので、足跡は残りません。
そのうちに、おたくの門まで五十メートルほどのところへ来ました。そのとき、変なことが起こったのです。
アスファルトの地面にくぼみができて水がたまっていました。その水が、石でも投げ込んだように、ぽちゃんと、はねたのです。
しかし、あたりにはだれもいません。水の中には、石ころなんて見えないのです。
すると、その水たまりの向こうに、ぺたっと、水にぬれた足形がつきました。人間のはだしの足跡です。
そして、その足跡が、二つ、三つ、四つと、だんだんふえて向こうへ遠ざかっていくのです。
だれもいません。ただ足跡だけが残っていくのです。透明人間です。あいつが、うっかり水たまりへ足を踏み込んだので、かわいたアスファルトの上に、ぬれた足形だけが残ったのです。