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おれはにじゅうめんそうだ
おれは二十面相だ/妖星人R
江戸川 乱歩
Read おれは二十面相だ/妖星人R (おれはにじゅうめんそうだ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 194,415 characters · 391 screens
ツバキの花は、しばらく空中にじっとしていました。
山口は、この道具を茂みの中の木の枝にくくりつけて、そこをたち去り、ずっと向こうからやって来たようにみせかけて、いきなり目に見えない相手に飛びかかって行ったのです。そのとき空中の花をもぎ取り、針金の道具は、茂みの中へ押しこんでしまいました。それから、激しいひとりずもうを始めたのです。」
じつに、はっきりした種あかしでした。おとなたちは、この小林少年のよくすじの通った話し方に、すっかり感心してしまいました。
「ああ、そうだったのか。でも、小林さんは頭がいいなあ。」
とつぜん、子どもらしい声が聞こえました。恩田さんの子どもの章太郎君が、いつのまにか、地下室へはいってきていたのです。
「あ、章太郎。おまえは、おかあさんのそばにいるほうがいいよ。」
恩田さんがたしなめるように言いました。
「だいじょうぶですよ。こんなに刑事さんがいるんだもの。それよりね、おとうさん、小林さんは真珠のゾウを取り返して、おかあさんに渡してくれたのですよ。」
「えっ、それはほんとうかね、小林君。」
「ええ、お話しするのを忘れてましたけれど、ぼく、あれを捜し出したのです。