Japanese reading practice

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しじみがし

しじみ河岸

山本 周五郎

Read しじみ河岸 (しじみがし) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 25,438 characters · 51 screens

Aozora Bunko

「若旦那をですか」とその番太は息をのんだ。

「そうだ」と彼はいった、「誰にもいうな、いいか、勘づかれないようにしろよ」

その中年の番太は「へえ」といった。律之助は上ノ橋で辻駕籠に乗り、まっすぐに南の役所へいそがせた。役所へ着くと、梶野和兵衛という同心を呼び、相模屋清太郎の看視を命じた。和兵衛は「臨時廻り」が分担で、わけを話すとすぐに了解した。

「そいつは番太が内通しますね」

「それが覘いなんだ」と律之助はいった、「番太は町に雇われた人間だし、相模屋は土地の大地主で家主だからな、――これで清太郎が動いてくれれば、しめたものなんだが」

「逃げるようだったら縛りますか」

「高とびをするようならね」と律之助はいった、「しかし任せるよ」

「承知しました」

「なにかあったら家のほうへ知らせてくれ、夜中でも構わないからね」と彼は念を押した、「変ったことがなくとも、私のゆくまで見張りは頼むよ」

「承知しました」と和兵衛は云った。

梶野和兵衛は手先を二人伴れてでかけた。律之助もいっしょに役所を出たが、堀端でかれと別れ、辻駕籠をひろって小伝馬町の牢屋へいった、石出帯刀は登城ちゅうであったが、志村吉兵衛がいて、彼が用件を話すと、すぐにその手配をしてくれた。