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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
Read ゆうれい貸屋 (ゆうれいかしや) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 21,320 characters · 42 screens
「たまに逢うのにくぜつはやぼよ、……えへん、たま、……えへん、おかしいな、……だ、えへん、抱いておくれよしっぽりと、ああこりゃこりゃときた」
どうしても、こうなってしまう。いくらやりなおしてもだめなので、ついに弥六はうんざりして、経文を抛りだして寝ころんでしまった。
「ばかばかしい、どうにでもしやあがれ」
やけになって、そのまま眠ってしまったらしい。どのくらい眠ったものか、枕元で皿小鉢の音がするので、ひょいと眼をさました。するとそこにゆう女がいて、
「よく寝てたわね、眼がさめて」
こう云ってにっこり笑った。
「おめえ、……おめえ来てくれたのか」
「いやなことを云うわね、あたしあなたのおかみさんじゃないの、ずっとここでいっしょにいたわよ」
「だっておめえ、おれにあ見えなかったぜ」
「それは初めに云ってあるでしょ、ゆうれいは晩だけ、昼間は見えないの、あんた自分でさっきそ云ってたじゃないの、ああそうそ、さっきで思いだしたけれど、あんた今日たいへんなことをしてくれたわね」
「たいへんなことって、おれがか」
「おれがかじゃないわよ」お染ゆう女はきっと坐りなおした、「あんた仏壇をあけて、般若心経を読もうとしたでしょ」