Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
Read ゆうれい貸屋 (ゆうれいかしや) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 21,320 characters · 42 screens
……かくて、ゆうれい貸屋は、陰々と開業された。爺さん婆さんを除いたほかの四人が、八方へでかけてまず客を捜す。つまり、死ぬほど人を怨んでいる人間、畜生ッ化けて出てとり殺してやりたい、などと怨み呪っている者を捜し、捜し当てたら、「炭屋河岸へおいで」と耳うちをするのである。
「やんぱち長屋の弥六の家へおいでなさい、ごくお安くあなたの怨みをはらしてあげます」
これを暗示的に何回も繰返すと、なにしろ相手は怨恨のためにとり乱し、精神の平衡を失っているので、ついふらふらと暗示にかかるらしい、開業五日めに早くも客がやって来た。……この応対問答も面白いのだが、話をいそぐ必要から略すとして、依頼は恋の恨み、先方は人の女房ということだけ記して置く。
六日め七日めと、客はしだいに殖えた。十日めには七人もやって来たし、さらに多くなるもようであった。
「当ったなあ、お染、見ろ、もうおめえ三両ちかく儲かったぜ」
「それっぱっちなによ、いまに千両箱を積んでみせるわ」
「この調子だと、そんなことになるかもしれねえ、だがなんだな、おらあつくづく思うんだが、世間にあずいぶん人を怨んでる者がいるんだなあ」