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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Read ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 39,100 characters · 78 screens
町から上るには、大手搦手といったように、山の両方から二口ある。――もっともこうした山だから、草を分け、茨を払えば、大抵どの谷戸からも攀じることが出来る……その山懐を掻分けて、茸狩をして遊ぶ。但しそれには時節がやや遅い。従って、人出もさまでにはなかった。
多津吉は、町の場末――件の搦手の方から、前刻尾づたいに上って来た。
竜胆が一二輪。
小笹の葉がくれに、茨の実の、紅玉を拾わんとして、瑠璃に装を凝らした星の貴女が、日中を天降ったように。――
「ああ、竜胆が咲いている。」
「まあ、ここにも。」
――更めて言うが、その時は女まじりに、三人ばかり土地の知己で、多津吉に連があった。
その女のつれが、摘んで、渡すのを、自分の見つけたのと二本三本、嬉しそうに手にした時……いや、まだ、その、一本、二本、三本を算えない時であった。
丘の周囲を、振袖の一行――稚児髷に、友染の袖、緋の襷して、鉄扇擬の塗骨の扇子を提げて義経袴を穿いた十四五の娘と、またおなじ年紀ごろ……一つ二つは下か、若衆髷に、笹色の口紅つけて、萌黄の紋つきに、紅い股引で尻端折をしたのと、もう一人、……肥った大柄な色白の年増で、茶と白の大市松の掻巻のごとき衣装で、青い蹴出しを前はだけに、帯を細く貝の口に結んだのが居た。