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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Read ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 39,100 characters · 78 screens
日中といえども、不意に山道で出会ったら、これにこそは驚こう。
かかる異様なのが、一個々々、多津吉等の一行と同じ影を這わせて歩行いた。
彼処に、尾花が十穂ばかり、例のおなじような兀げた丘の腹に、小草もないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高く莟さえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、繻珍の帯を矢の字にしたのが、弱腰を嫋やかに、白い指をそらして折って取った。
……狩を先んじられた気がちょっとした。
その多津吉の傍へ、何の介意もなく、するすると、褄をちらりと捌いて寄ると、手を触れるばかりにして、竜胆の紫を黙ってよこした。流れた瞳の清しさ。
「ありがとう。これはどうも。」
とばかり多津吉は、そのまま連に連れられようとして、ふと見ると、一方は丘を、一方は谷の、がけ際の山笹を、ひしゃげた茶の釜底帽子が、がさがさと、乾びた音を立てて揺って、見上皺を額に刻んで、もじゃもじゃ眉に、きょろりと目を光らした年配の漢が見えた。異様な一行の連らしい。
娘と手を合わせたのに、何となく気がさして、多津吉はその漢に声を掛けた。
「茸はありますか。」
「はあ、いや松露でな。」
もってのほか、穏和な声した親仁は、笹葉にかくれて、崖へ半ば踞んだが、黒の石持の羽織に、びらしゃら袴で、つり革の頑丈に太い、提革鞄を斜にかけて、柄のない錆小刀で、松の根を