Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Read ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) by 梅崎 春生 (うめざきはるお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,411 characters · 263 screens
その日彼は勝ちつづけていた。一回の勝負の賭金は大した額ではなかったが、勝ちがつづくので、彼の座布団の下にはかなり厚く紙幣がたまっていた。そしてその場の勝負も、彼が勝った。紙幣をまた受取ると、場にちらばった札をそのままにして、彼は莨に火をつけた。
「私がかけあうのも、可笑しな話でしょうしね」と彼は白木の顔を見ながら言った。「やはり白木さんが行くべきですよ」
「ええ。ええ。でも私は口が下手でしてね」
「そう。口が下手らしいですね、あなたは」
白木はくずしていた膝をゆっくり坐り直した。白木の膝もとには、もう二三枚の紙幣しか残っていなかった。白木はしろっぽくふくれた瞼の下から、ちらちらとそこを眺めたり彼の顔を見たりしながら、低い声で言った。
「もう、黄疸はいいのですか。あまり黄色くないようですねえ」
「電燈の光だから、そう見えるんですよ」
「実はね」と白木は少し言い淀んだ。「すこし金が要りましてね、明日が千葉行きでしょう、もう発田さんの方に話をつけていただいたかと思って、いえ、それでもいいんですけれどもね」
「明日が闘鶏日なんですか」
「それについてね、やっぱり色んなことがあって、金がかかったりしましてね」