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さんりょうせいべえとめいばあさづき
三両清兵衛と名馬朝月
安藤 盛
Read 三両清兵衛と名馬朝月 (さんりょうせいべえとめいばあさづき) by 安藤 盛 (あんどうさかん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,144 characters · 17 screens
敵陣へ飯食いに
「朝月、やせたのう」
と、うなだれた。
敵陣へ飯食いに
悲しかったのは、清兵衛ばかりでなかった。城兵たちはみな悲しかった。このままうえ死にするよりも、いっそのこと、はなばなしく戦って討ち死にがしたかった。
「どうだ、おのおの、生きておればひもじいから、飯がくいたくなる。死にさえしたらなんのことはないから、今晩、殿に願って、きって出ようではないか」
「死にさえすりゃ、ひもじくはない。賛成だ」
「拙者も」
「死ね死ね」
「日本武士が朝鮮まできて、うえ死にしたとあっては恥だ。きって出ろ」
「夜討ちをかけて、敵の食物をうばったら、そいつを食って一日生きのび、明日の夜また討って出よう」
夜討ちをかけることに賛成した者は、三百人からあった。その中に、川音清兵衛も加わったのである。五、六人のものは、宍戸備前守の前にかしこまって、
「ただいまから夜討ちをかけ、敵の飯を食ってまいりとうございます」
「なに敵陣へ飯食いにまいるか」
「は、腹いっぱいになってもどってまいります」
こうして夜討ちの準備ができた。丑満ごろになると、三百余騎は城門を開き、明軍の中に突撃した。
まさかとゆだんしていたところを、おそわれた明軍は、日本軍何万かわからないので、ろうばいするところへ、得たりとばかりに、その陣に火をかけた。