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さんりょうせいべえとめいばあさづき
三両清兵衛と名馬朝月
安藤 盛
Read 三両清兵衛と名馬朝月 (さんりょうせいべえとめいばあさづき) by 安藤 盛 (あんどうさかん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,144 characters · 17 screens
見るとその鎧は雑兵の着るものではなかった。
「名ある大将分らしい。捕虜を引き出して首実検させて見よ」
こう、備前守はいった。
七、八人の明兵がひき出され、たき火でその馬の主は何人かと、実検させた。すると、一人の捕虜はとび上がってさけんだ。
「これは五十人力といわれた呂州判官にございます」
「なに呂州判官と申すか」
城兵たちも思わずさけんで、顔を見合わせた。
呂州判官とは、日本軍にまできこえた明の豪将、一万の兵を従える呂州判官兵使柯大郎といって、紺地錦の鎧を着ていたのであった。宍戸備前守はじめ、人々は、川音清兵衛のこの戦功を、いまさらのようにおどろいてしまった。
「敵一万の大将を討ち取ったとは、あっぱれな働きである。いそぎ軍奉行の太田飛騨守へ、この旨をとどけ出せ。毛利輝元勢宍戸備前守の臣、川音清兵衛、討ち取ったとな、大声で――大声でいうのじゃぞ」
備前守は清兵衛を、のぞきこむようにしていった。自分の部下からこんな勇士が出たのが、うれしくてたまらなかったからである。
「殿、功は拙者一人のものではありませぬ。こ、この朝月も働きました。このことを、戦功帳に書いていただくことはあいなりませぬか」