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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
Read 中世の文学伝統 (ちゅうせいのぶんがくでんとう) by 風巻 景次郎 (かざまきけいじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 115,977 characters · 230 screens
こと問はむ人さへ稀になりにけりわが世の末のほどぞ知らるる 〃
この帝王調はやはり後鳥羽院の御製と同じで、一般の廷臣とは別の生活の上に置かれているものである。風流とか、芸術的三昧とかいうのでなく、悠々として伝統の歌形に、独り孤高の感懐を寄せておられる。一種の神言である。
後村上天皇。
鳥の音におどろかされて暁のねざめしづかに世を思ふかな
めぐりあはむ頼みぞ知らぬ命だにあらばと思ふ程のはかなき
ゆくすゑを思ふも久し天つやしろ国つやしろのあらむ限りは
長慶天皇。
わが宿と頼まずながら吉野山花に馴れぬる春もいくとせ
治まらぬ世の人ごとのしげければ桜かざして暮らす日もなし
新待賢門院。後醍醐の妃。隠岐へお伴された。後村上天皇の御母儀。後皇后に昇られ、正平十四年四月二十九日賀名生で崩御。御年五十九。
ひきつれし百の司の一人だに今は仕へぬ道ぞ悲しき
九重の玉のうてなも夢なれや苔の下にし君を思へば
み吉野は見しにもあらず荒れにけりあだなる花はなほ残れども
北畠親房。村上源氏の久我家から分れた権大納言師重の子。すでに一度致仕しておったが、建武中興の後再び仕えて、従一位に昇り、北畠准后といわれた。