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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
Read 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) by 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,039 characters · 248 screens
快晴微風の日に、熔岩の原へ出て、凝結核を測ってみると、百個くらいである。この時風上十二フィートくらいのところで、煙草を一本吸ってもらうと、その影響がすぐ現れて、凝結核はとたんに二万個程度に殖える。火を消して一分間も待つと、またもとの百個にもどる。自動車の排気の影響だと、もっとひどくて、三十フィート先を一台の自動車が通ると、今まで二百個くらいだったのが、一挙に十万個にはねあがる。風が弱い時は、この影響がなかなかとれず、十分間くらいも経たないと、もとの値にはもどらない。普通の道路だと、十分間も待っているうちに、また次の自動車がくる。したがってこういう研究はできないわけである。飛行機の排気の影響は、もちろんもっとひどい。ヒロの飛行場で測った結果では、三百フィートも離れていても、二十万個くらいの増加を示した。要するに、人間の住んでいるところでは、この種の研究はできない。人間がひしめきあっている大都市のスモッグの研究に、人界を離れたマウナ・ロアの山頂が好適だというのは、けっして逆説ではないのである。
場所さえ巧く選べば、核の測定自身は簡単である。この頃GEから凝結核測定器というものが売りだされているので、それをもって、ジープで、ヒロから山頂までなんべんも往復して、高度分布を測ってみた。