Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
びぜんめいきゅうでん
備前名弓伝
山本 周五郎
Read 備前名弓伝 (びぜんめいきゅうでん) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 24,649 characters · 50 screens
六
またひとつおまえの執成しを頼むぞ」「御勝負の様子を聞かして頂けないのでしたら、わたくしもお執成しはいたしませぬ」「それならそれでもいいさ」と、あっさりしたものである。
六
明くる日、登城をすると、もう昨日の勝負のことがすっかり伝わっているとみえて、会う人毎に問いかけられる。
「滝川どのに負けたそうだな」「さぞ残念でござろう」「勝負に無理があったのではないか、それとも勝を譲られたのか」「馬鹿なことを」なにを云われても「されば」で片付けていたが、その日の午さがり。
「青地どの、お上が召します」と小姓が知らせてきた。「はっ、参上仕る」「お庭でございます、御案内仕ります」
小姓が先に立って廊下を奥へ、杉戸口から庭へ下りる。泉水を廻って築山のうしろへ出ると光政専用の的場がある。そこに床几を置いて光政が掛けていた。側には小姓二名、弓と矢壺を捧げて控えている。
「お召しにより三之丞、参上仕りました」「近うまいれ」「はっ」「弓の相手を申付ける。これ、その方どもは退ってよいぞ」
小姓を下げて三之丞とただ二人。光政は弓を執って立った。三之丞は矢壺の側へすすみ寄って矢を捧げる。