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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Read 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,262 characters · 243 screens
当り前なら構わない。しかし目に余るようなら、翌晩単騎遠征を試みて、更に一層の好意を此方に示させる。御苦労な話だけれど、そうして置かないと気が済まない。ただし初めての家なら、当然僕の方が余計注意を惹くから、翌晩の単騎遠征は大抵菊太郎君の役割になる。
僕達は競争する運命を持って生れて来たのらしい。二人は共通点があると同時に、背景が似ていたから、子供の頃から好い対照になった。僕は長男で、姉が三人ある。菊太郎君も長男だ。その後妹が二人生れた。何方も男の子としては女の中の一粒種だった。それから偶然のことに、二人は同じ日に生れている。十一月三日、天長節だった。菊太郎君の菊は菊花節の菊を利かしたものである。
僕達は守に背負われている頃から仲が好かった。顔を合せると、お互にニコ/\したそうである。何方の坊っちゃんが好い器量かという議論が守と守の間に起ったらしい。似たものが二つ並べば、出来の善し悪しが問題になる。僕の守は無論僕の方に力瘤を入れて、
「奥さま、お隣りの坊っちゃんに負けるのは業腹ですから、おべゝも背負い半纒も縮緬ずくめにして戴きます」
と要求した。
「お由や」