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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Read 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,262 characters · 243 screens
馬鹿なことをしたものである。しかし父親は、
「まあ、宜いさ。若いものゝすることだ」
と言って、大目に見ていた。隣りでは更にその上を越した。ワッショ/\の声が高まったと思ったら、菊太郎君が矢張り店員達に担がれて現れた。菊太郎君のお父さんが向う鉢巻をして、音頭を取っていた。
親同志も競争意識に支配されていたのである。こんな話を聞かされると、僕は人並に育ったのが大きな儲けものだったと思う。家中総がかりで煽て上げるのだから、余程素質が好くないと、立派な馬鹿旦那になってしまう。菊太郎君もその辺を斟酌して考えたのか何うか知らないが、
「これぐらいなら親孝行だよ、僕達は」
と言っている。万事僕と同じの積りでいるところが可愛い。昨今では二人の間に一見殆んど甲乙は認められないけれど、幼少の頃は僕の方が遙かに智恵が早かったらしい。何でも先だった。市岡家ではそれを苦に病んで、両親が菊太郎君にチョチ/\アワヽを教えようとした。しかし菊太郎君は頭が未だその程度まで発育していなかったから、その晩大熱を発して、引きつけてしまった。医者が駈けつけて、これは無理に智恵をつけた結果ですと診断した。