Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Read 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 127,035 characters · 254 screens
しかし女であり未婚であり、年若であるところから、叔父の勘三が後見をしていた。
寮に住居をしているのは、父母に逝かれた悲しさから、気欝の性になったのを、癒そうとしてに他ならなかった。
ところが今から一月ほど前から、彼女は不思議な病気となった。真夜中になると唐突にも、胸に痛みを覚えるのである。それも尋常の痛みではなくて、鋭い刃物か針のようなもので、心臓をえぐられるか刺されるかのような、そう云った烈しい痛みなのである。そういう病気を得て以来、彼女は見る見る衰弱した。いろいろの医者にも診て貰ったが、病気の原因は解らなかった。
そういう病気の起こる前に、叔父勘三の指金で、お菊という女を小間使いに雇った。美しい若い勝ち気な女で、人もなげに振る舞うこともあったが、それだけ万事に気が付いて、浮世の表裏をよく知っている女、そう云った女に異存はなかった。
「よいお前の話し相手になろう」
お菊のことをお島へこう勘三は云った。
しかし事実はそうではなくて、そのお菊の話し相手になるのは、かえって叔父の勘三なのであった。お菊が小間使いにはいって以来、勘三はしげしげこの寮へ来て、お菊を側へ引きつけて、ふざけたり酒の酌をさせたりした。