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こじょうのまひる
古城の真昼
野村 胡堂
Read 古城の真昼 (こじょうのまひる) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,644 characters · 28 screens
二
「それは困る、あればかりは勘弁してもらい度いが」
子爵は一方ならず迷惑相ですが、
「話したまえ、少しでも我々の耳へ入ったら、隠し了せるものでは無い」
「賛成」
「謹聴謹聴」
もう斯うなっては手の付けようがありません。
二
玉置の城趾の奇談というのは、一時新聞でも騒がれた大事件ですが、真相というのはまだ世の中につたわって居りません。新聞記者蜂屋文太郎は、商売柄かなり突っこんだ所まで知って居るらしい口振りです。
「天慶二年、平将門は下総猿島に偽宮を造り、関東諸国を攻略して、諸国に要塞を築き、城池を修理して、官軍を待った。超えて三年、貞盛秀郷等に討たれて、東国の乱悉く平らいだ……これは日本歴史に詳しく載って居ることで、今更申すまでもありません」
蜂屋文太郎の話はなかなか大掛りです。今まで倦怠し切って居たクラブ員達も、思わず乗り出して小学生のように物好な顔を輝やかせて居ります。
「ところで、その諸国の要塞の内、玉置子爵の旧領地に、玉置の城というのがあります。当時の兵略上一番重要な足場だったらしく、将門は部将に命じて、軍用に充てられた夥しい金銀珠玉を、その城中に蔵したという事が、玉置家の古記録や、一部の稗史などに伝えられて居ります。