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こせんのなぞ
古銭の謎
野村 胡堂
Read 古銭の謎 (こせんのなぞ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,885 characters · 26 screens
這い、転げ、躍り騒ぐ男女の中に、もう一度、物凄い叫喚があがりました。
が、何時まで経っても、火薬の爆発どころか、プスリとも音がしません。
「ウフ、フフフ、ハッハッハッハハハ」
花房一郎とうとう笑い出してしまいました。
「何が可笑しい」
「火薬は昨夜の内に片付けて、あとへ泥を入れて置いた事に気が付かないか」
「エッ」
しくじったりと、飛び退いて逃げ出そうとする左京路之助を追いすがって、後から手がかかったと思うと、毬の如く投げ飛ばして、引き起こした時はもう手錠をはめて居ります。
「エッ、世話を焼かせる」
善悪男女六人、銘々、思い思いの感動にひたり乍ら、もう一度暗い段々を辿って明るみへ出ました。外は美しい春の日の午後。
「左様なら、皆さん」
名探偵花房一郎、こう言ったまま振り向きもせず、ダブダブ服の山羊髭のまま、出口で待って居た部下に、左京路之助を引立てさして行こうとします。
「どうしてあの抜路や地下の宝庫がわかったのです、せめて、それだけ聞かして行って下さい」
浩一郎が後から追っかけて聞くと、にこやかに立ち止って、
「何んでもない事ですよ、私は春山氏が行方不明になった当時、公用の留守中で、この事件に関係しなかったので、古銭研究家に化けて、新規まき直しの探偵に入りこんだのです。