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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens

Aozora Bunko

た。

「知らねえ人が見りゃびっくりするじゃねえか。死にたくなるがらでもあるめえに、寝ぼけているんだったら目をさましなよ――」

どんと背中をたたかれたのに、どうも様子が変なのです。のっそりとうしろを振り向きながら、上から下へ名人の姿をじろじろと見ながめていましたが、とつぜん、やぶからぼうに、ねっちりと妙なことをいいだしました。

「つかぬことをお尋ねするんだがね――」

「なんだよ。不意に改まって、何がどうしたんだ」

「いいえね、この梁からだらりとさがっている帯ですがね、だんなにはこれがなんと見えますかね」

「なんと見ようもねえじゃねえか。ただの帯だよ。二分も持っていきゃ十本も買える安物じゃねえか」

「でしょう。だから、あっしゃどうにもがてんがいかねえんですがね。だんなはいったいこの帯が人を殺すと思いますかね」

「変なことをいうやつだな。殺したらどうしたというんだ」

「いいえね。殺すかどうかといって、おききしているんですよ。どうですかね、殺しますかね。このとおりもめんの帯なんだ。刃物でもドスでもねえただのこのもめんのきれが、人を殺しますかね」

「つがもねえ。もめんのきれだって、なわっきれだって、りっぱに人を殺すよ。