Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
くさやの干物に新口ができたとかいう評判ですが、そのことですかい」
「しようのねえ風流人だな。だから、おめえなんぞ歌をよんでも、花が咲くゆえがまんできけりになっちまうんだ。そんなことぐれえ知らねえでどうするんかい。加賀様の奥仕えのお腰元のお蘭というべっぴんが思いついて、江戸紫に今のその鹿の子絞りを染めさせ、袋仕立ての広幅にこしらえさせて、ふっさりふさのように結んでたらしたぐあいがいかにもいきで上品なところから、お蘭しごきという名が出たんだよ。くさやの干物とまちがえるようなおにいさんに手の出るような安い品じゃねえんだ。よりによってお蘭しごきばかりねらいとるたアただ者じゃあるめえ。慈悲をかけてお出ましになってやるから、したくしな」
「ちぇッ。ありがてえ。ちくしょうめ。だから、歌もよむものなんだ。春が来て花が咲くゆえとよんだればこそ、しごきどろぼうもだんなのお目に止まったじゃねえかよ。察するに、イの字とロの字のきちげえにちげえねえんだ。でなきゃ、よしやお蘭しごきが一本三両しようと五両しようと、おかしなところをつるりとなでて、わざわざ腰に締めているのを抜きとるなんて、人ぎきのわりいまねをするはずあねえんだから、べらぼうめ、おらがに断わりなしで江戸の女に手を触れるってえことからしてが、かんべんならねえんだ。