Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
おしたくがよければ出かけますぜ!」
どこへ行くつもりなのか、ひとりで勢い込んでいるとき、けたたましく表口から呼びたてる声が聞こえました。
「だんなだんな、だんなはどちらでござんす!」
「だれだ、だれだ。どこのどいつだよ。ただだんなじゃわからねえや。今ここに、だんなはふたりいるんだ。右門のだんなか、伝六だんなか、どっちだよ」
「そういう伝だんなでござんす。あんたに、伝だんなにちょっくら用があるんですよ」
「えへへ。うれしいことをいやがるね。伝だんなとは気に入ったね。待ちな、待ちな、今あけるからな。――そら、見てくんな。これが伝だんなのお顔だ。わざわざおれに用とは、どこのだれだよ」
ことごとく上きげんでぬっと顔を出しながらのぞいてみると、――いないのです。影もない。姿もない。たしかに声も足音も聞こえたのに、人影はおろか、犬の子すらも生き物の影は皆無でした。
「ちくしょうッ。気味のわるいまねをしやがるね、よしねえよ、よしねえよ。隠れたってだめなんだから、ふざけたまねはよしねえよ」
いぶかりながら、なにげなくひょいと足もとを見つめると、はからずも目を射たものはぶきみな一通の書状でした。